読書アーカイブ: くもの巣日記2

2009年11月10日

ダブル・スター

著者 ロバート・A・ハインライン
訳者: 森下弓子

創元SF文庫
1994.6.24初版 2009.9.18 3版

太陽系帝国の危機 改題

1956年 ヒューゴー賞受賞 ハインライン初
DOUBLE STAR  1956

俳優が政治家の替え玉に扮するが、一生芝居を続けることになるというお話。
部隊は未来世界だが、SF小説ではないのでは?

2009年8月 9日

杜若艶姿

酔いどれ小籐次留書 12巻

芝居の女形 岩井半四郎 異名 杜若半四郎からの招きで芝居見物に行くことになる。
おりょう様を連れ立っての芝居見物も目千両の半四郎とひと首千両の小籐次のそろいぶみとあって江戸の町で評判となり、大騒ぎが・・・

おりょう様との関係も進展がありそうな予感。読んで痛快で楽しい。さすが佐伯泰英。

2009年8月 6日

史記 武帝記(二)

北方謙三の史記の2巻目がやっと出た。

奴婢から身を起こした衛青が匈奴との戦いで戦果を挙げて大将軍まで出世する。
匈奴側も代替わりして若者が出てくるし、戦いの行方は予断を許さない。
西域に行っていた張騫もようやくもどってくるし、司馬遷も生意気な若者として登場する。
魅力的な登場人物が揃って、これからが楽しみ。

2009年7月19日

侘助ノ白

居眠り磐音 江戸双紙 30巻

でぶ軍鶏の利次郎が親父の供で土佐へ帰国。
土佐の特産品をめぐるお家騒動と江戸の磐音の道場に現れた槍折れの小田平助をめぐる話が並行してすすむ。
でぶ軍鶏が強かったという痛快なチャンバラと、餅つきの達人というだけでなく滋味あふれるキャラクターとして新しい脇役になりそうな小田平助が登場。今後の話にふくらみが出そうで期待が持てる。

佐伯泰英のチャンバラ小説 文庫書き下ろしはすごいペースで書いているらしいが、ファンになってみると、ひと月に1冊ペースでは物足らない。鎌倉河岸も密命も早く次が読みたい。

2009年6月13日

相剋

密命・陸奥巴波 巻之二十一

ようやく出ました。密命シリーズの続編。

金杉清之助はさわやかで強すぎ。なぜか親父の金杉惣三郎が清之助のライバルになる相手を育てているが、親父は今回一度も一人称で出てこない。もう主人公は息子になってしまったの?

今回は仙台が舞台だがそろそろ江戸の風情とわき役の活躍も見たくなってきた。いいかげん江戸に帰ってこないかなー。

2009年5月23日

手のひら、ひらひら

江戸吉原七色彩 (えどよしわらなないろもよう)

著者 志川節子 文芸春秋 2009.4.10 第一刷

江戸時代の吉原での暮らしぶりを描いた作品。

吉原に売られてきた娘に男を教えひとかたの遊女に仕立て上げる上ゲ屋

年季を積んだ妓に活を入れ心身の張りを保つための策を授ける保チ屋

マッサージで妓の疲れを和らげる妓夫

遊女の手紙の代書をする遊女上がりの女

など吉原で生きる様々な職業の男女を描いた短編集だが、登場人物がリレーのようにつながってひとつの吉原の物語を作っている。さすがに女流作家だと感心するような細やかな気持ちのうつろいが味をだした作品。

2009年5月20日

隠居宋五郎

鎌倉河岸捕物控 十四の巻

前巻でしほと政次が祝言し名実ともに金座裏の十代目が出来た
ということで、九代目の宋五郎が暇になってしまう。
人生50年の時代だからといって40台で隠居は暇だよね。

でも、しっかりと10代目を後見しながら活躍するし、10代目もしっかりとお手柄を立てるし、目出度いお話です。

2009年5月11日

バンカーなんか怖くない

喜多島隆 著 光文社文庫 2008年12月20日初版

3本だけのクラブでゴルフデビューしたハワイの少女の続編。
サンドウエッジが壊れて、バンカーショットが決まらなくなってしまう。錆びた古い3本のクラブが実は幻の名品だったらしい。その作者を探し出し1本作ってもらい、バンカーショットの切れが戻ってハッピーエンド。
でも、サクセスストーリーかと思ったら、せっかくついたウェアのスポンサー契約を断ってしまい、仲間の女の子がカンパして買ってくれた古着のポロシャツを着て試合に出るとは泣かせる。

ドライバーも打てるようになってタイガーウッズのようにプロで活躍する続編が読みたいなー。

2009年5月 8日

あの虹に、ティー・ショット

著者 喜多島 隆
光文社文庫 2008年5月20日 初版

16歳のハワイ日系の少女がアイアン3本で、ゴルフにデビューし試合に勝つというサクセスストーリー。ジュブナイル仕立てだけどゴルフ好きの私としては十分楽しめる。
SWと7番アイアン、5番アイアンの3本しか無く、靴が買えずにスパイク付きのゴムぞうりで最初の試合に出るというなんともハワイらしいお話。
でも、女の子が5番アイアンで210ヤードだもんね。5番、7番がばっちりでSWがバンカーからいつも30cmに寄ればジュニアのレディスなら勝ち目あるよね。

2009年4月28日

新艦長、孤高の海路

海の覇者トマスキッド7

フォーンブロワー、ボライソーと帆船時代の海洋冒険小説を読んで来て、新作が出てくるシリーズとして期待しているのが、このトマスキッド シリーズ。

他のシリーズと違ってイギリスの艦長でも貴族出身ではなくて、カツラ職人の水兵から始まったキッドがどこまで出世するかが楽しみ。

今回、キッドは初めて艦長になり命令をこなしていれば良かった海尉との違いに戸惑う。
また、友人のニコラス・レンジが、は熱病になったり、回復してもうつ病になってしまい、オーストラリアへ移住してしまう。
束の間のフランスとの和平でキッドは船を失い、オーストラリアへの囚人船の船長を引き受けたりする。
筋書きはどんどん進むが、文章の途中でいきなり話が省略されて進むのでとまどってしまう。たとえばフランスの船と戦い絶体絶命のピンチになったときに、次の行では通りかかったイギリスのフリゲートに助けられたらしいが、いきさつは省略されていたりする。
もうすこし、丁寧に書いてほしいよね。盛り上がってきたところで外される感じがする。